2012年2月22日水曜日

冬の風物詩 土のグラウンドの凍結問題

暦の上では春とはいえ、まだまだ寒い日が続いております。
校庭や公園を芝生にすると、「養生」のために使えない期間があるから芝生はダメだ、と言われることがありますが、今年の冬にはこれとは逆に「土のグラウンドだから使えなくなってしまった。芝生だったらきっと気持ちよく使えたのになぁ。」と思われる状況に何度も出会いました。
1210日の週末、東京ではこの冬最初の厳しい冷え込みとなり、零度まで気温が下がりました。早朝犬の散歩で立ち寄った公園の芝生は、一面雪が降ったように真っ白な霜で覆われ、緑を保っていたクローバーは、緑のままに、氷漬けのようにパリパリに凍っていました。土の出ている部分では、前の晩までの雨をたっぷり含んだ土がすっかり凍って、高さ数センチにもなる霜柱が立っていました。
 
左:緑のままにパリパリに凍り付いたクローバー。 右:高さ数センチの霜柱。これが冬のグラウンドの大敵
の日、武蔵野中央公園のグラウンドでは、少年サッカーの武蔵野市選抜チームと全国レベルの強豪チーム横河武蔵野FCとの練習試合が予定されていました。試合に先立ってグラウンド作りのために集合すると、土のグラウンドは一面ピカピカに凍り付き、日が昇るにつれてそれが溶け出し、グラウンド全体がタプタプに水を含んだ沼地のようになり、あちこちに水たまりが出来始めました。
表面が完全に凍結した武蔵野中央公園スポーツグラウンド
凍結した水分が融け出し、タプタプの沼地のようになったグラウンド。ズルズルとすべり、歩くことすら困難 
ゆっくり歩くだけでもズルリとすべり転びそうになります。とてもまともにスポーツを楽しめる状況ではありません。試合開始までの1時間で少しでもグラウンドコンディションをよくしようと、表面に浮き出した冷たい泥水を雑巾に含ませてバケツにためて捨てるという、気の遠くなるような作業を続けます。
一方、市内の小学校校庭で練習試合を予定していたチームからは、校庭がぬかるんで使用禁止とされてしまったので、中央公園グラウンドの一部を使わせてもらえないだろうか、という切実な依頼がよせられます。中央公園グラウンドは、コンディションが悪くともなんとか使わせてもらえますが、市内小学校のグラウンドでは、このような場合はたいてい使用そのものが禁止されてしまうのです。
一時間後、表面だけ生乾きになったぬかるみで試合がはじまり、子ども達があちこちで転び、シャツやパンツ、ソックスにシューズにボール、子ども達の顔までがみるみるうちに泥まみれになっていきます。正直、気の毒で見ていられません。帰宅後、子ども達のユニフォームやソックスを洗濯することいなるお母さん方のうんざりした顔が目に浮かびます。
ところでこの公園、何度かこのブログでも紹介していますように、サッカーや野球、ラグビーといったスポーツのための北半分のグラウンドは土の舗装で、紙飛行機の聖地と呼ばれる南半分は芝生という構成になっています。
芝生部分の様子を見ると、前日の雨と早朝の冷え込みは、土の部分と全く同じ条件のはずなのに、霜柱も水たまりもぬかるみも全く見あたりません。軽く湿ってはいるものの、絡み合った匍匐茎がしっかりと足元を支えてくれて、踏ん張ってもずれたりえぐれたりすることはありません。
上のぬかるみグランドと隣接する芝生広場。とても同じ日同じ時間とは思えないくらい快適に乾いています。
これは、保温力のある芝生に覆われているため地表温度がそれほど下がらず、前日の雨の水分の凍結をかなりの程度まぬがれたこと、また芝生によって透水性が高まっているため、表面的に凍っていた氷が融けたとしても、その水分が素早く表面から排水されてぬかるみにならなかったこと、などが理由として考えられます。
凍結によりどろどろの汚泥になった土のグラウンドと、何事も無かったようにサラッと快適に乾いている芝生の広場とが、公園の北半分と南半分で見事な対比となっておりました。
毎年1 3月に掛けて、学校校庭や公共のグラウンドを借りて活動するサッカーや野球チームは、この地面の凍結とぬかるみによるグラウンド使用禁止に戦々恐々とします。一度雪でも積もってしまえば、それが日中融けてぬかるみになり、夕方から夜半にかけてまた凍結するというサイクルが毎日繰り返され、12ヶ月の間一度も練習が出来ないとった状況も起こりえます。もちろんそれは体育の授業や休み時間の外遊びも同じことです。
こうしたグラウンドが芝生であったら、すくなくともこの地表数センチの凍結による泥濘とその長期化によるグラウンドの使用制限の問題は大幅に解消するはずです。
以上、よく言われる「芝生にすると使えない期間がある」だけではなく、「芝生にしたおかげで、これまででは使えない状況でも使える」ということもあるというお話でした。

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